複数の香港メディアによると、中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会の会議は30日、中国政府による香港の統制強化を目的とした「香港国家安全維持法」案を可決した。高度の自治や司法の独立を認めた「一国二制度」を形骸化させる恐れがある。

自由が尊重された香港は歴史的な曲がり角を迎えた。

ポンペオ米国務長官は米時間29日、中国が香港を「一国一制度」として扱っているとして、香港に認めてきた優遇措置の一部を終了させると発表した。対抗措置の一環で、米中対立が激化している。

全人代常務委での可決後、香港政府が公布し、香港返還から23年となる7月1日に施行する可能性がある。香港では集会や言論の自由が認められてきたが、今後は中国本土と同様、共産党や政府に批判的な活動は犯罪行為として取り締まられる懸念が出ている。

習近平指導部は香港市民や国際社会の懸念を顧みず同法の制定を強行。これに対し米国は香港の優遇措置の見直しを続ける方針を示している。香港返還の基礎となった中英共同宣言に反すると主張する英国などの一層の反発は必至だ。

全人代は5月下旬、香港での抗議デモの取り締まりを念頭に、国家安全法制を導入することを決定した。香港国家安全維持法は国家安全法制の柱と位置付けられ、香港立法会(議会)を迂回(うかい)する手法で、全人代常務委が制定。法案を審議する常務委会議は6月に2度開催された。短期間に続けて開く異例の措置で成立を急いだ。

法案の概要によると、国家分裂や政権転覆、外国勢力と結託して国家の安全に危害を加えるといった行為が処罰対象となる。中国政府の出先機関「国家安全維持公署」が香港で治安維持を担う。(共同)