「いつまで雨が続くのか」「どこへ逃げればいいのか」。停滞する梅雨前線の影響で大雨が続いた九州北部では、河川の氾濫や浸水などのほか、避難所に土砂が流入する被害も発生。住民は不安を抱えながら避難所に身を寄せ、自治体の防災担当者は慌ただしく対応に追われた。

「水が家に入ってきた」。大規模な冠水が発生した福岡県大牟田市。市役所では、被害を訴える住民からの電話が鳴り続けた。建物1階も浸水し、担当者は「今までにない経験。冠水がひどく市民に避難場所を伝えるのも難しかった」。

大牟田市上屋敷町の公民館には、床下浸水などに遭った約160人が避難したが、その後に周囲が増水し孤立。自衛隊が救助に向かい、女性は「物資も少なくスペースも狭くすごく不安だった。助けに来てくれてよかった」と話した。

福岡県久留米市では筑後川が氾濫。災害対策本部には「どの避難所に行けばいいか」「支流の門は閉じているのか」などの問い合わせが相次ぎ、対応に追われた職員は「避難指示が出ているので、安全を確保するようお願いしている」。

「まだ詳しいことを確認している段階」と話したのは、大分県日田市の防災担当者。土砂崩れなどが発生し、学校など約50カ所の避難所を設置。250世帯以上の約500人が不安な時間を過ごし、担当者は「とにかく状況を把握して、住民に情報を発信しなくてはいけない」と語った。

氾濫した玖珠川の近くで民宿を営む玉有勝さん(76)は「40年住んでいるけど、これほど水位が上がったのは初めて」と話した。

大分県九重町では、避難所の公民館に土砂が流れ込んだ。町によると、前日から避難していた住民3人は無事といい、別の場所へ移動。小学校に設けた避難所も浸水して住民が移った。野上川が氾濫し、JRの鉄橋が濁流に流された。

長崎県では、佐世保市の商店が崖崩れで全壊したほか、針尾川の氾濫で道路が冠水。大村市の担当者も「市民から問い合わせが相次いでいる。警察、消防と協力し、現場で対応に当たっている」と緊迫した様子だった。

熊本県菊池市は菊池川、合志川の水位が上がり、避難勧告を出した。防災交通課の担当者は「市民から、どの道が通れるか問い合わせは入るが、まだ大きな被害はない。落ち着いて状況を整理している」という。(共同)