アイヌ民族の文化の発信と継承、国民理解促進の拠点として北海道白老町のポロト湖畔に整備されたアイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が12日、開業した。「先住民族アイヌ」をテーマとした初めての国立施設。政府は観光や地域振興のけん引役としても期待しており、年間来場者100万人を目指すとしている。

オープニングセレモニーで刀禰俊哉内閣官房アイヌ総合政策室長は「アイヌの誇りが尊重される社会の実現に向けた施策の扇の要。愛される施設になることを祈念している」とあいさつ。PRアンバサダーで俳優の宇梶剛士さんも登壇し「アイヌの豊かな歴史と受難の歴史をここで知ってもらうことで、優しさや認め合う心が広まってくれたら」と期待を込めた。

ウポポイ内の国立アイヌ民族博物館を訪れた北海道上ノ国町の米国人で外国語指導助手のギャレット・バルゴンさん(25)は「着物のデザインが豪華で印象に残った。アイヌの歴史や文化の勉強になり素晴らしい」と話した。

当初は4月24日に開業予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2度にわたって延期されていた。開業後は感染防止のため入場を事前予約制とし、平日は1日2千人、土日祝日は1日2500人程度に制限する。

主な施設は同博物館と国立民族共生公園、慰霊施設の三つ。博物館は民族衣装や工芸品など約1万点を収蔵し、うち約700点を展示している。延べ床面積約8600平方メートルで1階の大部分は研究室。2階の基本展示はアイヌが構成や解説に関わり、アイヌ語の資料や儀礼で使う祭具、1700年代の板綴(いたとじ)舟を紹介している。

公園は伝統舞踊やムックリ(口琴)演奏を披露する体験交流ホールや、伝統的な家屋が並ぶコタン(集落)からなる。慰霊施設には全国の大学に保管されていたアイヌの遺骨1287体が集約されている。(共同)