中国国務院(政府)直属の中国科学院の研究所から原子力関連の技術者約90人が6月に集団辞職し、騒動になっている。科学院は科学技術分野で国内最高の研究機関。辞職は待遇の悪さなどが理由と指摘され、政府は機密性の高い核関連の先端技術を扱う人材の流出を問題視。劉鶴副首相が主導する調査チームを組織し、実態解明に乗り出した。

集団辞職が起きたのは安徽省合肥にある中国科学院合肥物質科学研究院に所属する「原子力安全技術研究所」。ホームページによると、国際水準の先進的な研究拠点となることを目標に2011年に設立され、中性子の研究などに携わる。

中国メディアは、同研究所が政府から大規模プロジェクトを許可されず研究費が減少していたことや、研究者の待遇が悪く民間企業に転職したことなどが理由ではないかと報道。研究所は最大で500人程度が勤務していたが、最近は人材流出が止まらず、今回の集団辞職で約100人に減少したという。

研究所側は当初「正常な人材の流動だ」と説明。しかし騒ぎが大きくなり、中国科学院は19日に現地に調査チームを派遣。21日には劉氏が主導する国務院や科学技術省などの合同チームが調査に当たると発表した。

米国への対抗も念頭に、習近平指導部が「科学技術強国」の建設を推進する中での“失態”。インターネット上では「科学研究者は国の宝で、将来の生活の心配をさせるべきではない」などと待遇の改善を求める声が上がっている。(共同)