大規模降雨で表面の土壌と共に河川などを経由して、東京電力福島第1原発の沿岸へ流れ出した放射性物質セシウムが2015年以降、流出総量の大半を占め、海水のセシウム濃度を上昇させる主因になっているとの研究結果を、筑波大の青山道夫客員教授が27日までに発表した。

汚染水の漏えいを防ぐ海側遮水壁が15年に完成して直接漏えいが減り、大規模降雨時に流出したセシウムの割合が相対的に増加したことが主な理由とみている。

青山客員教授は第1原発の南10キロの福島県富岡町の富岡漁港で14年6月から海水を採取し、セシウム137の濃度を調査。東電による原発近傍の北側放水口や、北7キロの浪江町、南20キロの楢葉町での調査や気象庁の降水量の記録と併せ、13~19年の降雨と海中のセシウム濃度の相関性を解析した。濃度は大規模降雨で上昇後、約30日で半減。下降後はほぼ一定となっており、下限値から直接漏えい分を割り出した。

北側放水口ではセシウム137の年間流出量は13年の6兆9100億ベクレルから16年は1兆ベクレルに減少。その後ほぼ横ばいで、18年に7700億ベクレルだったが、19年は台風19号などの影響で9300億ベクレルに増えた。直接漏えいしたのは13~14年は75%程度を占めたが、15年以降は21~50%に低下した。

それぞれの地点で、19年10月の台風19号など大規模な降雨時に濃度が急上昇。洪水で表土などが広範囲に海へ流出したためで、降雨がより大きな影響を与えていると分析した。

日本地球惑星科学連合の大会で今月12日に発表した。(共同)