菅義偉官房長官が積極的なメディア出演などで発信を強化している。新型コロナウイルス対策にとどまらず衆院解散の時期にも言及した。「ポスト安倍」の政局を見据え、主導権を確保しようとの狙いが透ける。ただ感染者増加を「圧倒的に東京問題」と断じた後、感染は全国各地に拡大。主張が裏目に出たり、発言を修正したりする場面が目立っている。

▽思惑

「常にいろいろな対応を考えることが危機管理で一番大事だ」。菅氏は1日の読売テレビ番組で、歴代最長内閣で危機管理対応を仕切ってきた自負をにじませた。

7月19日のテレビ番組では新型コロナ特別措置法改正を求める声が地方自治体から上がっていることを踏まえ「新しい法律は必要だ」と力説。30日のテレビ番組収録では、今秋の衆院解散・総選挙について「なかなか難しいのではないか。コロナ(対策)に専念してほしいというのが国民の声だろう」と踏み込んだ。

安倍晋三首相の専権事項である解散の時期に関し、首相のフリーハンドを縛りかねない発言をした背景には、ポスト安倍をにらんだ菅氏の思惑がにじむ。

周辺によると、菅氏は、安倍首相自身が来年9月に任期を迎える自民党総裁の連続4選を否定していることを踏まえ、来年に総裁選を行い、新総裁の下で衆院解散・総選挙に臨むべきだとの戦略を描いている。安倍首相が今秋の衆院解散に踏み切れば、そのもくろみが崩れかねないとの事情がありそうだ。

▽押し付け

だが積極発信は、狙い通りの成果を得ているとは言い難い。「東京問題」発言に対して、小池百合子東京都知事が「むしろ国の問題」と反論。

菅氏は、8月1日のテレビ番組でも、東京都による無症状者や軽症者用のホテル確保について「陽性者が増え始めた時、200ぐらいの部屋しか確保できていない状況もあった」と都を批判したものの、国と都が責任を押し付け合っているような印象は拭えない。

感染が全国に拡大し、各地で新規感染者数が過去最多を更新。一義的に自治体に対策を委ねる政府の対応を疑問視する声は日増しに強くなっている。

1日の番組では特措法改正についても「まだ何をどう変えるか理解されておらず、簡単に改正できない。時間はかかる」と慎重な言い回しに切り替えた。首相の専権事項である解散への発言については自民党内から「越権行為だ」(ベテラン)との批判も出ている。

菅氏は2日もテレビ出演を予定しており、その発言や影響が注目を集めることになりそうだ。(共同)