菅義偉首相は16日、就任後初の記者会見で衆院解散の時期を問われ「1年以内に解散・総選挙がある。時間の制約も視野に入れながら考える」と述べた。衆院議員任期は来年10月21日まで。首相の解散判断が政局の焦点だ。10月にも改めて召集される臨時国会は自公連立政権に、150人を擁して誕生した立憲民主党が挑む。与野党の論戦激化は一触即発の様相を呈し、神経戦が続く。

先月末の安倍晋三前首相の辞意表明後、低迷していた内閣支持率が大幅回復した。自民党には「追い風しか経験していない若手は選挙に弱い。今がチャンス」と選挙へ走りだす空気が広がった。

脳裏にあるのは2009年衆院選の惨敗だ。前年就任した当時の麻生太郎首相が金融危機リーマン・ショックへの対応で解散時機を逸し、任期満了に近い選挙に追い込まれて政権を失った。

ただ菅首相は14日の自民党総裁選出後「仕事をしたい」と述べ、新型コロナウイルス感染収束と経済再生を優先する意向を表明。風向きは微妙に変化する。党は新型コロナを踏まえ、政治空白をつくらないため総裁選の党員投票を見送った。ここで衆院選を実施すれば二枚舌と批判されるのは必至。党幹部は「野党が求めてくれば別だが、こちらから解散はできない」と慎重で、解散時期の見方は混沌(こんとん)とする。

野党は安倍路線「継承」を掲げる首相の政権運営を注視。コロナ、景気悪化に苦しむ国民生活を立て直すため、厳しく追及する構えだ。ただ「解散は受けて立つが、まずは国会論戦を強く求めたい」という枝野幸男・立民代表の言葉の背景には選挙準備の遅れも透ける。規模を拡大したとはいえ、国民民主党との分裂状態は変わらない。地方組織の整備や野党の選挙区調整など課題は多い。

首相選出後、二階俊博自民党幹事長は「いつ解散があっても対応できるよう準備を整える。明日でも結構だ」と挑発した。(共同)