豊富な資料を分析し、実証的なルポや小説を組み立てた作家の井出孫六(いで・まごろく)さんが8日午前5時12分、敗血症のため東京都府中市の病院で死去した。89歳。長野県出身。家族葬を近く行う。後日お別れの会を開く予定。喪主は妻信子(のぶこ)さん。

東京大卒業後、教職を経て中央公論社に入社、月刊誌「中央公論」の編集などに携わった。同人誌「層」に参加し「非英雄伝」「太陽の葬送」を発表。1969年に退社して著述に専念した。

75年、洋画家の川上冬崖を主人公にした「アトラス伝説」で直木賞。86年には中国残留孤児を描いたノンフィクション「終わりなき旅」で大仏次郎賞を受賞した。

このほか「秩父困民党群像」「抵抗の新聞人 桐生悠々」「中国残留邦人」など著書多数。中国残留孤児の肉親捜しや国家賠償請求訴訟を支援した。

評論家の故丸岡秀子さんは姉、三木内閣の官房長官を務めた故井出一太郎氏は兄。(共同)