ゼネコン大手の大林組が、水槽で人工海水をろ過して循環させながらアワビを養殖する技術を開発した。今後数年で販路開拓やコスト低減といった課題に取り組み、事業化を目指す。循環式養殖の国内での成功例は極めて少ないが、アワビの安定供給を図るとともに、従来の海面養殖で問題となっている海水汚染を防ぐ。

海面養殖は、アワビの成育に適した漁場が国内に少ないことなどから流通量が限られ、ふんや餌が海中に残り周辺の水質悪化につながる問題もある。大林組は水辺の工事で環境を守るために培った技術を活用し、海水がろ過装置を通る際に微生物を使ってふんや残った餌を分解、除去する仕組みを開発した。

2019年2月から約1年間、6000リットルの水槽に殻の長さ3~4センチの稚貝を入れて実験した結果、出荷できる大きさの平均7センチ程度まで育てることに成功した。柔らかくて磯臭さがないのが特徴で、担当者は「味は天然と比べて遜色ないレベルだ」とアピールした。

実験した水槽では、1日につき約120リットルの人工海水を新たに足すだけで済むという。アワビの成育に適した水質を保つため、ミネラルの補給や水槽の清掃方法も確立した。

国内では近年、天然アワビの漁獲量が減少し、韓国などからの輸入物の流通が大半を占める。水槽での養殖は天候などの自然環境に左右されないため、事業化できれば安定して国産アワビを供給できそうだ。(共同)