吉川貴盛元農相(70)が鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)グループの元代表(87)から現金を受け取ったとされる事件で、東京地検特捜部が農相在任中の計500万円の受領について、収賄罪で吉川氏を在宅起訴する方向で詰めの捜査を進めていることが12日、関係者への取材で分かった。吉川氏は任意の事情聴取に「大臣の就任祝いだと思った」と説明したが、特捜部は農相の職務に関する賄賂とみているもようだ。

吉川氏は慢性心不全などで入院し、体調不良を理由に昨年12月22日に衆院議員を辞職した。特捜部は同25日、広島地検と議員会館や地元札幌市の事務所、自宅などを家宅捜索。アキタ社関係者や農林水産省幹部らを任意聴取してきた。元代表についても贈賄罪で在宅起訴するとみられる。

関係者によると、吉川氏は農相を務めた2018年10月~19年9月に3回、大臣室などで現金計500万円を受け取った疑いがある。その前後にも他に計1300万円の授受があったとされるが、特捜部は職務権限が伴わないとして、この分の立件は見送る見通しだ。

元代表は在任中の吉川氏と面会を繰り返し、家畜を快適な環境で飼育する「アニマルウェルフェア(AW)」の国際基準の緩和や、鶏卵価格が下がった際に生産者を支援する「鶏卵生産者経営安定対策事業」の拡充などを要望していた。特捜部の聴取に現金提供を認め「業界のためだった」と説明している。(共同)