元日産自動車会長カルロス・ゴーン被告(66)の役員報酬過少記載事件の公判が12日、東京地裁であり、元日産最高執行責任者(COO)志賀俊之氏(67)が証人として出廷した。志賀氏は検察側の尋問に対し「ゴーン元会長から、開示せずに報酬を受け取る方法を考えるよう強い口調で指示された」と証言した。

志賀氏によると、2010年に役員報酬の個別開示制度が導入される際、ゴーン元会長から「いくらなら日本社会や社員は納得するのか」と尋ねられ、当時の報酬額を大きく下回る10億円以内と回答した。有価証券報告書に記載された報酬は約8億9100万円となった。

その後、当時相談役の小枝至氏(79)から「元会長の退任後に減額分を支払う方法を考えよう」との提案があったとし、志賀氏は「制度の趣旨に反し、法的リスクがある。不正に近い行為だと思った」と振り返った。

志賀氏は、元会長に直接会って問いただしたが「いつもは冷静なのに突然椅子から立ち上がり、語気を強めて『私が日産に来た時に約束された報酬はもっと多い。開示せずに受け取る方法を考えろ』と言われた」と明かした。「勢いに負けて従ったが、今は深く反省している」とも述べた。

志賀氏は05~13年にCOO、17年6月まで副会長を務め、19年6月に取締役を退任した。

公判では元日産代表取締役グレゴリー・ケリー被告(64)がゴーン元会長と共謀し、10~17年度の元会長の報酬総額を約91億円少なく記載した報告書を提出したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われている。(共同)