「日本のいちばん長い日」などの著作で知られ、日本近現代史の「歴史探偵」を自任した作家の半藤一利(はんどう・かずとし)さんが12日、老衰のため東京都世田谷区の自宅で死去した。90歳。東京都出身。近く家族葬を行う予定。

遺族によると、半藤さんは数日前から歩行が困難だったが、亡くなる直前まで会話は可能だったという。

東京の下町で生まれ育ち、14歳の時に東京大空襲を体験。父の郷里の新潟・長岡に一家で疎開し終戦を迎えた。東京大を卒業後の1953年、文芸春秋に入社。「週刊文春」「文芸春秋」編集長などを歴任し、94年から著述に専念した。

編集者として駆け出しのころ、坂口安吾らを担当し、社内で勉強会を主宰するなど歴史研究に開眼。終戦時の政府、軍部関係者を集めた座談会を雑誌「文芸春秋」の記事にまとめ、65年に「大宅壮一編」の単行本「日本のいちばん長い日」として出版。95年には「決定版」が刊行された。67年と2015年の2回にわたり映画化もされて話題を呼んだ。

他の代表作に98年の「ノモンハンの夏」(山本七平賞)、04年から刊行した「昭和史」シリーズ(毎日出版文化賞特別賞)などがある。妻の末利子さんが夏目漱石の孫という縁もあり、92年のエッセー「漱石先生ぞな、もし」で新田次郎文学賞も受けた。15年に菊池寛賞。

戦争体験の語り部としても活動。著作などを通じ、史実に基づき憲法9条と平和の大切さを次世代に説き続けた。(共同)