英秘密情報局(MI6)のムーア長官は19日、性的少数者(LGBTなど)の採用を1991年まで20年以上にわたり不当に禁じていたとして、謝罪する声明を公表した。「(敵国などから)脅迫を受けやすいとの誤った考え」が背景にあったとし「不公平で差別的だった」と全面的に非を認めた。

MI6はスパイ映画「007シリーズ」で主人公ジェームズ・ボンドの勤務先として知られる。近年は多様な人材を求める傾向にあり、91年から30年の節目を迎え、広く門戸を開く姿勢を訴える狙いがあるとみられる。

MI6では、英国で同性愛が67年に犯罪の対象から除外された後も、LGBTであることを公表した職員を解雇したり、採用を拒んだりしてきた。差別的措置が91年に撤回されてからも、LGBTであることを隠していた人が不当な待遇を受けるなど影響が続いた。

ガーディアン紙によると、冷戦時代は同性愛が安全保障上のリスクと見なされた。同性愛をきっかけにソ連に脅され、ソ連のスパイになった事件が発覚したことも背景にあった。

過去には、ドイツ軍の暗号を解読し映画化された数学者アラン・チューリングが同性愛を理由に有罪判決を受け、50年代に通信傍受機関の政府通信本部(GCHQ)から追放されたケースがある。(共同)