北朝鮮体育省は6日、ウェブサイト「朝鮮体育」を通じ、同国オリンピック委員会が3月25日に開いた21年総会で、東京五輪への不参加を決めたことを明らかにした。新型コロナウイルスから選手を保護するためとしている。東京パラリンピックにも参加しない。東京五輪に不参加を表明した国は初めて。日本や韓国への政治的思惑があるとの見方も出ている。他の国・地域への波及を含め、今後の影響も懸念される。

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東京五輪不参加を決めた北朝鮮オリンピック委員会の総会は、3月25日に平壌でテレビ会議方式で開かれた。当日は東京五輪聖火リレーの初日で、弾道ミサイルも発射した。北朝鮮メディアは翌日、昨年の活動総括と今年の活動方針を討議したと報じたが、東京五輪には言及していなかった。北朝鮮は1964年東京五輪も不参加。夏季大会で参加見送りとなれば、88年ソウル五輪以来、33年ぶり。

国際オリンピック委員会(IOC)は「残念ながら北朝鮮のNOCと電話会議を開くことができなかった。IOCは(不参加の)正式な申請を受け取っていない」と発表。また国際パラリンピック委員会(IPC)も、同国パラリンピック委員会から東京パラリンピックに参加しないと伝えられたと明らかにした。

北朝鮮は18年2月の韓国平昌冬季五輪に電撃参加し、アイスホッケー女子で南北合同チームを結成した。金正恩総書記は同年3月、平壌でIOCのバッハ会長と会談。北朝鮮側は東京五輪や22年北京冬季五輪に「必ず参加する」と表明、金正恩氏も参加を全面的に支持と述べていた。19年2月にはIOCと韓国、北朝鮮が4競技で合同チーム結成で合意したが、具体化は進まなかった。不参加の場合、東京五輪開会式の南北合同入場行進も消える。

一方で北朝鮮は医療体制が脆弱(ぜいじゃく)で、コロナを極度に警戒し昨年1月末から国境を封鎖。国内感染者はいないとしながらも、非常防疫体制を維持し、自国民の海外からの帰国さえ認めていない。選手団を派遣する可能性は低いとの見方も広まっていた。

日本での感染再拡大が指摘される中、他の国・地域へ影響も懸念される。国際水泳連盟が4~5月に日本で開催予定だった3大会を中止する意向を伝えるなど、テスト大会や国際大会の開催が難しい状況が続いている。組織委員会関係者は「北朝鮮の対応で『東京五輪は危ない』と思ってしまう国が他にも出てくるかもしれない。具体的対策を早急に説明すべきだ」と指摘した。組織委幹部はまた「北朝鮮がどこまで本音かどうか分からない」と指摘し、日米韓への政治的駆け引きがあるかもしれないとした。幹部はまた「バッハ会長は、韓国と北朝鮮の合同チームを平昌五輪に続いて結成したいと話していた。これではバッハ会長の立場がない」とも困惑した。

日朝関係の冷え込みも背景にありそうだ。北朝鮮の朝鮮中央通信は6日、3月の弾道ミサイル発射に菅義偉首相が言い掛かりをつけたとし「自衛権に対する乱暴な侵害であり、決して見逃せない」と名指しで非難した。日朝対話が断絶する中、菅氏は日本人拉致問題の解決に向け、東京五輪を北朝鮮側と対話する機会と位置付けていただけに、対応の練り直しを迫られた。