日米両政府は、菅義偉首相とバイデン大統領が16日に米ワシントンで開く初の首脳会談でまとめる共同文書に、中国・新疆ウイグル自治区と香港の人権抑圧に対する「深刻な懸念」を明記する方向で調整に入った。

複数の日本政府筋が10日、明らかにした。中国の人権問題を日米首脳が共同文書に盛り込むのは異例。安全保障や経済に加え、バイデン政権が重視する人権外交で歩調を合わせるため、態度を鮮明にすることを余儀なくされた。中国が内政干渉だとして反発するのは必至だ。

ウイグル問題では米欧が対中制裁に踏み切ったが、日本は慎重姿勢を維持している。首脳会談では、こうした対応がバイデン氏の理解を得られるかどうかも焦点となる。

会談では、緊張が高まる台湾海峡の平和と安定の重要性について認識を共有。沖縄県・尖閣諸島周辺での中国海警局の船による領海侵入や、武器使用を認めた海警法施行を取り上げ、尖閣が米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象だと再確認する。

経済面では、ハイテク製品に不可欠な半導体やレアアース(希土類)の確保に向け、中国に頼らないサプライチェーン(部品の調達・供給網)の強化を申し合わせる。

会談後には首相、バイデン氏が並んで成果発表する共同記者会見の開催を検討している。共同文書には日米同盟強化や気候変動、北朝鮮問題での連携も記載する方針だ。

米国は中国によるウイグル族弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定。香港国家安全維持法(国安法)の施行など民主派排除も強く非難している。茂木敏充外相は今月5日、中国の王毅国務委員兼外相に電話会談で、ウイグルと香港の人権状況に「深刻な懸念」を伝えたが、王氏は内政干渉に反対すると反論した。(共同)