東京パラリンピックの聖火リレーの採火を、2016年7月に入所者ら45人が殺傷された相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で行うことに反対する被害者家族らが13日、市に採火の中止を申し入れた。

申し入れたのは事件で長男一矢さん(48)が重傷を負った尾野剛志さん(77)ら。尾野さんは市内で担当者に中止を求める文書を手渡し、「被害者家族の気持ちを考えたらあの場所でできないはずだ」と訴えた。

事件で犠牲になった美帆さん(当時19)の遺族代理人を務める滝本太郎弁護士も申し入れに参加。3月31日の正式発表まで遺族らに説明がなかったとして、施設での実施が決まった時期を尋ねると、担当者は「昨年10月に方向性が決まった」と明らかにした。

尾野さんは「遺族や施設利用者の気持ちを差し置いて決めたことに憤っている」と批判。担当者は「今思えばお知らせしておけばよかった。至らぬ点があったことはおわびしたい」と謝罪したが、会場変更の可能性については「可能な限り理解を得られる方法で進めたい」と明言を避けた。

神奈川県の黒岩祐治知事は13日の定例記者会見で、施設での採火について「情報を共有して、市の判断に従いたい」としつつ、「被害者や遺族の気持ちを踏みにじってまで強行することではないと思う」との考えを示した。

市によると、採火は「共生社会への誓いを込める」として、8月15日に実施する予定。(共同)