茂木敏充外相が、5日に行われた中国の王毅国務委員兼外相との電話会談で、昨年までは「成功に協力する」と表明していた北京冬季五輪について「期待する」との表現に後退させたことが15日、分かった。複数の日本政府筋が明らかにした。新疆ウイグル自治区での人権問題への批判から米国などでボイコット論まで出ていることを考慮し、姿勢を転換した。

王氏は電話会談で、東京五輪にも触れ「開催を中日が相互に支持することを望む」と要請した。日本政府筋は姿勢転換について「米国などの動向に備える狙いがある」と指摘、今後、日中関係の火種にもなりかねない。

関係筋によると茂木氏は電話会談で、来年の北京冬季五輪・パラリンピックが「五輪・パラの理念にのっとって平和の祭典として開催されることを期待している」と強調した。五輪憲章は宗教や出自で差別を受けることがないよう掲げている。

茂木氏は東京五輪・パラについては「成功に向け日本政府として全力を尽くす」と訴えた。日本外務省は同会談での両五輪・パラに関する双方の発言内容を公表していなかった。

菅義偉首相と茂木氏は昨年11月、来日した王氏とそれぞれ会談。日本側は東京、北京両大会に関し「双方は成功のため協力していくことを確認した」と発表していた。

国際社会では中国当局がイスラム教徒の少数民族ウイグル族を抑圧しているとの批判が高まっている。北京五輪を巡っては英国外相が昨秋、ボイコットを示唆。今年2月に人権団体が各国政府にボイコットを呼び掛けた。米国務省の報道官は今月、同盟国との共同不参加をほのめかしたが、大統領報道官は参加姿勢に「変更はない」と表明した。(共同)