菅義偉首相は16日午後(日本時間17日午前)、バイデン米大統領とホワイトハウスで初めて対面で会談した。中国による東・南シナ海における力による現状変更の試みや威圧行為に反対することで一致。共同声明に「日米両国は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と明記する。首相は中国・新疆ウイグル自治区での人権問題で日本の立場や取り組みを説明し「深刻な懸念」を伝えた。

気候変動問題や新型コロナウイルス対策での連携強化も確認した。日米首脳の共同文書で台湾に言及するのは、1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領の会談以来で、72年の日中国交正常化以降初めて。会談後、首相は台湾海峡や尖閣諸島を巡る情勢に関し「厳しい状況が続いているのは事実だ。平和裏に解決することを最優先にすると合意した」と記者団に述べた。

バイデン氏は1月の就任後、外国の首脳と初めて対面で会談した。会談後の共同記者会見で、日米同盟は「揺るぎない」と強調し、海洋進出を含め「中国がもたらす課題に連携して取り組む」と述べた。

首相は共同声明について「今後の日米同盟の羅針盤となる」と強調。両首脳は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、東南アジア諸国連合(ASEAN)やオーストラリア、インドなどと協力していく方針を再確認した。多数の死傷者が出ているミャンマー情勢を強く非難し、暴力の即時停止などを求めた。

会談で首相は「日米同盟の強固な絆を確認したい」と表明した。バイデン氏は沖縄県・尖閣諸島を含む米国による防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象と改めて確認した。首相は日本の防衛力強化への決意を示した。夏の東京五輪・パラリンピック開催への支持も得た。

両首脳は会談で、北朝鮮による日本人拉致問題は重大な人権問題であり、日米が連携して北朝鮮に即時解決を求めると申し合わせた。脱炭素化とクリーンエネルギーに関する日米気候パートナーシップで合意した。

バイデン氏は、新型コロナウイルスに加え「次の感染症」も視野に日米で連携して備えを進める考えを強調。半導体のサプライチェーン(部品の調達・供給網)構築でも協力を推進するとした。

台湾に関する共同声明の記述は、3月の日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)共同文書の表現を踏まえた。

会談は約2時間半。最初に通訳を入れた個別会談を約20分行った後、少人数会合と拡大会合をそれぞれ約1時間開いた。(共同)