中国人民解放軍が関与したとされるサイバー攻撃事件で、対象となった国内約200機関には宇宙航空研究開発機構(JAXA)の他に三菱電機や日立製作所、IHIといった防衛関連企業、慶応大や一橋大などの研究機関も含まれていたことが21日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁公安部は防衛関連技術や高度研究情報が幅広く狙われたとみている。

公安部によると、攻撃は2016、17年に集中。各機関は資産管理などに用いる同じ日本製ソフトを導入しており、ソフトの未公開の欠陥が悪用された。使用されたマルウエア(悪意のあるソフト)の種類などから、公安部は中国関連のハッカー集団「Tick(ティック)」による攻撃と判断した。

一方、捜査対象となっている元留学生の中国籍の男が、人民解放軍関係者の女の指示で、セキュリティー関連の日本製ソフトを購入しようとしたが、必要な法人登記などが確認できないなどとして販売元に拒否されたことも判明。ソフトの欠陥を洗い出し、別の攻撃を画策するためだったとみられる。

公安部は攻撃で使われた国内サーバーを偽名で契約したとして中国共産党員の30代男を書類送検。元留学生も女の指示で契約した疑いがあり、3人を事情聴取したが既に出国している。捜査を継続し、国家的な工作活動の実態解明を目指す。

加藤勝信官房長官は20日の記者会見で、情報流出などの被害は確認されていないとしている。(共同)