台湾が半世紀ぶりの記録的な干ばつに見舞われている。一部自治体では週2日間の断水を実施。農産物被害が報告されているほか、製造時に大量の水が必要な半導体産業への影響を懸念する声が上がっている。

中南部の複数のダムで貯水率が10%を切った。観光名所でもある南投県の日月潭の貯水率は約30%。干上がって草原のようになった一部の湖底は「名所」となり、多くの観光客が記念写真を撮っていた。遊覧船は運航停止。地元のタクシー運転手は「50年以上住んでいるが、こんなにひどいのは初めて」と話した。

台湾では昨年、台風が上陸せず、中南部では秋以降まとまった降雨が観測されていない。特に深刻な台中市や苗栗県などでは4月6日に生活用水の制限を開始した。

工業用水の供給も制限。世界的な供給不足が続く半導体を巡り、各国から増産を求められているさなかだ。半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、政府の協力も得て「危機管理の一環として対応してきた」として影響はないとしている。

台湾メディアによると、4月上旬時点でマンゴーやお茶などの農産物被害は4億台湾元(約15億7千万円)超。台南市政府の関係者は「マンゴーは収穫できても小粒になりそうだ」と話した。

蔡英文総統は4月27日に台中市を視察した際に「非常に深刻」と述べ、地下水など新たな水源開発に力を入れるとともに、市民らに「節水」を呼び掛けた。だが抜本的解決には「まとまった降雨以外に手だてがない」(政府関係者)のが実情で、台湾各地にある道教の女神、媽祖(まそ)が祭られている廟(びょう)では雨乞いの儀式が執り行われている。(共同)