東京都港区の区立住宅で2006年、住人の都立高2年市川大輔さん(当時16)が、シンドラーエレベータ社製のエレベーターに挟まれて死亡した事故から15年となった3日、現場近くに献花台が設置され、遺族や高校の後輩ら多くの関係者が花を手向けた。母正子さん(69)は「息子の命を無駄にしないため走り続けた15年だった」と振り返った。

正子さんが港区などに損害賠償を求めた訴訟は17年に和解が成立。区はこれを受け、6月3日を「港区安全の日」と制定。18年から遺族と共催で集会を実施してきたが、今年は新型コロナウイルス対策のため、昨年に続いて中止となった。

正子さんは事故後、真相究明と再発防止を求める署名を集め、約46万人分を国に提出。思いが届き、建築基準法施行令の改正で09年9月以降に新規設置されたエレベーターには、扉が開いたままの上昇を防ぐ「二重ブレーキ」の設置が義務付けられた。だが改正前の既設エレベーターに義務はなく、改修が進んでいない。

正子さんは「事故のリスクがある限り、二重ブレーキは必要不可欠。製造元や保守点検業者が連携して安全対策に取り組むよう、これからも声を上げ続ける」と力を込めた。

献花に訪れた武井雅昭区長は「事故を風化させないために、遺族や支援者と協力して安全な社会づくりに尽力したい」と述べた。

同社のエレベーターを巡っては12年10月、金沢市のホテルでも女性従業員が挟まれ死亡する事故が起きた。

(共同)