東京都内に住む南アジア出身で40代のイスラム教徒(ムスリム)の女性が、警視庁の警察官から不当な任意聴取を受け、他人に氏名や住所などの個人情報を漏らされたとして5日、都公安委員会に苦情を申し出たことが分かった。代理人弁護士は「公権力による外国人への差別意識が根底にある」と批判している。

弁護団が警視庁や関係者に問い合わせるなどした結果に基づく申し出書によると、女性は6月1日、近所の公園で長女(3)を遊ばせていた際、園内にいた男性から、息子が長女に突き飛ばされたとして「外人」「在留カード出せ」などと詰め寄られた。男性の通報で警視庁の警察官6人が駆け付け、日本語が不自由な女性に「おまえ本当に日本語しゃべれねえのか」などと発言。その後女性と長女のみ最寄りの警察署で約2時間半、任意聴取された。

女性と長女は突き飛ばしたことを否定。だが警察官に暴行を認めるよう言われ、男性側に連絡先の電話番号を伝えることに同意するまで帰してもらえなかった。警察側は後日、民事訴訟を起こすとする男性に女性と長女の氏名や年齢、住所などの個人情報を伝達。女性が長女を監督できていなかったとして児童相談所に通報したという。

長女は単独で4人の警察官から聴取された場面もあり、現在、トラウマ(心的外傷)による不眠の症状を訴えている。

代理人の西山温子弁護士は、任意の聴取でも、外国人は容疑をかけられ強制送還されることを恐れて警察に逆らえないことが多いとし、「外国人というだけで警察に不当な扱いを受けることがあり、この問題は氷山の一角だ」と指摘する。

女性は取材に「娘は絶対にやっていない。住所を漏らされ、不安で平和な生活ができない。差別的な行為が繰り返されないよう、警察にはしかるべき対処をしてほしい」と話した。(共同)