インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策を強化するため、法務省は刑法の「侮辱罪」を厳罰化し、懲役刑を導入する方針を固めた。上川陽子法相が14日の閣議後の記者会見で、16日の法制審議会(法相の諮問機関)総会に諮問すると明らかにした。侮辱罪の現行の法定刑は「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」だが、法制審では「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」を追加する案を検討。厳罰化に伴い、公訴時効も現行の1年から3年に延長となる。

上川氏は会見で「ネット上の中傷は同様の書き込みを次々と誘発し、取り返しのつかない重大な人権侵害につながる」と指摘。「誹謗中傷に対する非難が高まっている。厳正に対処すべき犯罪だと示し、抑止することが必要」と述べた。

インターネット上で中傷を受けた後に死去したプロレスラー、木村花さんの母親木村響子さん(44)は「うれしい半面、ここからが始まりという気持ち」と感想を述べ、「少しずつ変わりつつあるが、満足せずに今後も活動を地道に積み上げ、花の望んだ優しい社会に近づけたい」と語った。

響子さんは、花さんが死去した昨年5月以降、被害者救済のための法整備などを求める要望活動を行ってきた。厳罰化は念願がかなった形。「さまざまな働き掛けをしてきた結果で、大きな1歩」と評価した。

昨年末以降、弁護士らと共に企業や団体、小学校などで講演し、なぜネット上で誹謗中傷してしまうのかなどについて語り合ってきた。今月からは花さんの名前を冠したNPO法人を立ち上げ、動画投稿サイト「ユーチューブ」での啓発活動にも力を入れていくという。