憲法に基づく臨時国会の召集要求に100日近く応じなかったのは、明確に違憲だ-。2017年当時の安倍内閣の責任を追及しようと、野党議員らが全国3カ所に起こした訴訟の控訴審で、浜田邦夫元最高裁判事(85)が異例の意見書を作成し、原告側が裁判所に提出したことが、26日までに分かった。

浜田氏は弁護士出身で、01~06年に最高裁判事を務めた。菅内閣も野党による臨時国会の要求を拒み続け、ようやく来月4日の開会を決めたばかり。80日間「放置」したことになり、浜田氏は取材に「17年時と同様に憲法を無視した対応であり、違憲だ」と語った。

憲法53条は、衆院か参院の総議員の4分の1以上が臨時国会を要求した場合、内閣は召集を決定しなければならないと定めている。少数派の意見を国会に反映させる趣旨とされるが、期限の定めはない。加藤勝信官房長官は今月1日の記者会見で「内閣に委ねられている」と述べた。

意見書は「内閣に政治的な裁量は認められない」と指摘。要求から開会までの合理的期間は「長くても30日以内」が原則とし、天変地異が起きた場合でも「最長で45日以内には召集されなければならない」とした。

野党は17年6月、森友、加計学園問題を追及するため臨時国会の召集を要求。安倍内閣は98日後の9月28日に開会し、冒頭で衆院を解散した。

浜田氏は審議なく解散した経緯に「要請を満たしたとはおよそ評価できず、召集義務に反する違憲行為をしたのは明白だ」との考えを示した。また、裁判所が召集までの合理的期間を明示する必要があるとも主張した。

訴訟では東京、岡山、那覇の3地裁がいずれも憲法判断を示さず、請求を退けた。東京訴訟は12月20日に控訴審初弁論が開かれる。

浜田氏は「憲法判断すべき事案であるのに、司法救済の職務を放棄した」と一審判決を批判。「行政を追随する日本の司法の悪しき伝統が如実に現れており、最高裁判事を務めた者として非常に嘆かわしい」と意見書を書いた理由を明かした。

(共同)