日本大学の医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の建て替え工事の設計契約を巡り、東京地検特捜部は7日、日大に2億2000万円の損害を与えたとして、背任の疑いで日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)と大阪市の医療法人「錦秀会」の前理事長籔本雅巳容疑者(61)を逮捕した。国内最大規模の大学が舞台となった背任事件は重大局面を迎えた。

逮捕容疑は、昨年2月中旬、井ノ口容疑者が役員を務め、日大から委託された関連会社「日本大学事業部」(世田谷区)が、板橋病院の建て替え工事の設計に関する業者選定をするプロポーザルで、都内の設計事務所が1位になるよう評価点を改ざんして選定。同7月に日大から設計事務所の口座に着手金約7億3000万円を送金させた上、8月にこの口座から籔本容疑者が出資した無関係の会社に2億2000万円を送金させ、日大に損害を与えた疑い。

関係者によると、出資会社側から約6000万円が井ノ口容疑者側の関連会社に渡ったとされる。

井ノ口容疑者はアメリカンフットボール部の悪質反則問題で2018年7月に理事を辞任したが、19年12月に事業部の役員に復帰し、昨年9月に日大理事にも再び選任された。特捜部の任意の事情聴取に不正はないと主張している。

錦秀会は、関西を中心に複数の病院や介護施設を展開するグループで、流出先のコンサル会社は実体のないペーパーカンパニーとみられる。籔本容疑者は今年9月17日に錦秀会の理事長を辞任した。事件への関与は否定しているとみられる。

特捜部は9月、日大本部(千代田区)や日本大学事業部、田中英寿理事長(74)の自宅(杉並区)などを家宅捜索。押収資料を分析し、田中理事長を含む複数の日大幹部を聴取して実態解明を進めていた。(共同)