日本製鉄は14日、同社が持つ電磁鋼板に関する特許を侵害されたとして、トヨタ自動車と中国鉄鋼大手の宝山鋼鉄を同日付で東京地裁に提訴したと発表した。両社にそれぞれ約200億円の損害賠償を求めている。特許侵害の疑いがある電磁鋼板を使ったトヨタの電動車について、日本国内での製造と販売を差し止める仮処分も申請した。

日鉄が特許権侵害で自動車メーカーを訴えるのは初めて。「無方向性電磁鋼板」と呼ばれる高機能製品に関する特許侵害があったと主張している。取引関係が深い業界トップの企業同士が、訴訟に陥るのは極めて異例だ。トヨタは同日、特許への抵触がないことを製造元に確認しているとして「訴えられたことは大変遺憾だ」と反論した。

電動車にはハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などがあり、電磁鋼板はそれらのモーターに使われる。日鉄は、差し止めの対象となる電動車の車種や台数の規模は明らかにしていないが、主力のHVが対象となれば、販売面への影響が大きい。

トヨタは2020年に国内で50万台超の電動車を販売し、国内販売の3分の1を占める。世界初の量産HVである「プリウス」のほか、小型HVの「アクア」などを展開している。

日鉄は、宝山鋼鉄が成分や板の厚さなど製造技術に関する特許を侵害した電磁鋼板を日本で販売し、トヨタが採用していると主張。両社とこれまで特許に関する協議を行ってきたが、問題の解決に至らず、訴訟に踏み切った。該当する特許は10年に出願し、その後に登録されたという。

日鉄とトヨタは、今夏には自動車用鋼材の値上げを巡り、日鉄が原材料高を背景に鋼材の供給を制約する可能性を主張し、交渉がこじれた経緯がある。(共同)