広島は6日、米軍による原爆投下から77年の「原爆の日」を迎え、広島市の平和記念公園で午前8時から「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が営まれた。核保有国ロシアによるウクライナ侵攻のさなかの開催となり、松井一実市長は平和宣言で、核抑止力を支持する考えが勢いを増していると指摘し「一刻も早く全ての核のボタンを無用のものにしなくてはならない」と核兵器廃絶を訴えた。

日本政府に対しては、米ニューヨークで開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で核保有国と非保有国の橋渡し役となるよう訴えた。核兵器禁止条約の早期批准も求めた。来年5月に広島で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)に出席する各国代表にも核廃絶を呼びかけた。

式典では、岸田文雄首相が「核兵器のない世界への機運が後退していると言われる今こそ、惨禍を繰り返してはならないと世界に訴える」とあいさつした。非核三原則の堅持を表明し、NPTの維持・強化を訴えたが、核禁条約への言及はなかった。グテレス国連事務総長もあいさつした。

過去最多の98カ国と欧州連合(EU)の代表が出席したが、市はウクライナ侵攻を理由に、ロシアを招待しなかった。

原爆投下時刻の午前8時15分、会場内外で黙とうがささげられた。

広島市の小学6年生から選ばれたイタリア生まれのバルバラ・アレックス君(12)と山崎鈴さん(11)が「平和への誓い」を朗読した。

新たに4978人を追加し総計33万3907人が記帳された原爆死没者名簿を原爆慰霊碑の石室に奉納した。被爆者健康手帳を持つ全世界の生存被爆者は、今年3月末時点で11万8935人。平均年齢は84・53歳と高齢化が進む。

式典会場は新型コロナウイルス感染防止のため、例年の3分の1となる約3550席とした。また、安倍晋三元首相への銃撃事件を受け、警備を強化。参列者の入場チェックに金属探知機を導入した。(共同)