東京都内を走る電車内で痴漢被害に遭った女性弁護士が、自身に対する強制わいせつ致傷罪で起訴された男に有罪判決が言い渡された後、実名を公表して記者会見し「誰でも被害者になり得る」と訴えた。女性は自らも性犯罪の被害者支援に取り組んできた青木千恵子弁護士(45)。被害の深刻さやサポートの重要性を語った。

有罪とされたのは会社員の男(43)。今月1日の東京地裁判決によると、2020年10月にJR埼京線内で青木弁護士に痴漢行為をした後、逃げる際に振り払ってけがをさせた。判決は「混雑した電車内という逃げ場のない状況で、着衣の中に手を差し入れたもので、卑劣」などとして、懲役2年6月、執行猶予4年とした。

公判は裁判員裁判で審理された。青木弁護士は被害の当事者として出廷し、一般的に講じられる遮蔽(しゃへい)措置や氏名の秘匿を希望せずに証言。事件後も繰り返し被害を思い出してしまう様子や、被害の影響で司法試験予備校の講師を辞めざるを得なくなり収入が激減した状況などを切実に語った。

検察庁が一時、事件を正式な公判を開かない略式起訴で処理しようとしたが、検事の交代で正式裁判となった経緯も意見陳述で説明。「本当は忘れたいのに、事件の細部まで長期間覚えていなければならないという義務感での生活を余儀なくされ、何度も精神的に不安定になった」と述べた。

判決後の記者会見で青木弁護士は「被害に遭った際は自分で抱え込まず、周囲に助けを求めてほしい」と訴えた。(共同)