中古車販売大手ビッグモーター(東京)による自動車保険の保険金不正請求問題で、金融庁は19日、同社への立ち入り検査を始めた。損害保険ジャパンにも立ち入った。事故車両の修理時に故意に車を傷つけ、保険金の過大請求を繰り返していたビッグモーターと、不正を認識しながら車両修理をあっせんする取引を再開した損保ジャパンの癒着の実態解明を急ぐ。

同日午前、複数の検査官がビッグモーター多摩店(東京都多摩市)に立ち入った。多摩店には保険代理店業務を統括する機能がある。

損保ジャパンの親会社SOMPOホールディングス(HD)に対する責任追及も焦点となる。保険契約者の利益を軽視するような問題があったと認めれば、業務改善命令などの行政処分を出す。

損保ジャパンの取締役を兼務しているSOMPOHDの桜田謙悟会長兼グループ最高経営責任者(CEO)にも聴取する。桜田氏がいつ不正を把握し、どう対応したのかといった観点から、ガバナンス(企業統治)が機能不全に陥っていなかったかどうかを調べる。

金融庁はSOMPOHDに立ち入り検査する可能性もある。

不正請求問題を巡っては8日、損保ジャパンの白川儀一社長が引責辞任すると表明した。(共同)