イスラエル軍報道官は20日、イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ北部で、イスラム教のモスク(礼拝所)が「兵器の製造工場として使われていた」と主張した。トンネルの縦穴も見つけたとしている。軍は同日、地上侵攻で「テロリスト300人以上を逮捕し、尋問した」と発表。敵が民間人に紛れ込んでいる実態を暴露したと強調した。

一方、バイデン米大統領は20日、ハマスが拘束している人質を解放する米国仲介の交渉について、合意が近いと「信じている」と述べた。ロイター通信は21日、ハマスの指導者ハニヤ氏が声明で、イスラエルとの停戦合意が「近づいている」と述べたと報じた。合意の詳細は不明だという。

イスラエル軍は病院攻撃や民間人の被害拡大で国際社会の批判を受けており、改めて正当性を訴えた形だ。ガザ北部のインドネシア病院も包囲し、攻撃を激化。ロイターによると、保健当局は病院に患者約700人と医療スタッフが残っていると説明した。軍はロイターに「病院内から発砲があった。軍は発砲した敵を直接狙った。病院が標的ではない」と話した。

軍報道官によると、モスクの捜索で建物地下にロケット弾を製造する作業場所が見つかったとしている。軍が公開した映像には、地下に下りるトンネルの縦穴や大量の武器が写っている。

軍は「テロリスト」を尋問した結果、トンネルや倉庫、武器の所在が明らかになったと主張した。軍が公開した映像では、男性が「(地区最大の)シファ病院にハマスの戦闘員がいた。看護師の服装だった」と述べたり、別の男性が「赤新月社の建物でハマスがロケット弾をマットレスで包んでいた」と話したりした。信ぴょう性は不明。

米国に本部を置く民間団体、ジャーナリスト保護委員会(CPJ)は20日、戦闘継続により少なくとも50人の報道関係者が死亡したとする調査結果を公表した。

イスラエル北部のレバノン国境地帯ではレバノンの民兵組織ヒズボラとの交戦が続き、軍は20日、戦闘機でヒズボラの作戦司令部を攻撃したと発表した。(共同)