スウェーデン・アカデミーは13日、2016年のノーベル文学賞を発表、有力候補の1人とされていた村上春樹氏(67)は受賞を逃した。

 村上氏の母校兵庫県立神戸高校(神戸市灘区)では、同窓会幹部や村上氏が所属していた新聞委員会の仲間、在校生徒ら約20人が同窓会館に集合。インターネット中継を見ながら発表を待った。午後8時過ぎ、米国のシンガー・ソングライター、ボブ・ディランの名前が読み上げられると「あ~」とため息が漏れた。関係者の1人は「あの歌手のボブ・ディランかいな。文学ではなく、歌手やろ。名前を聞いたとき、ひっくり返りそうになった」と話した。

 同校に関係者らが集まり、吉報を待つようになって12年目。村上氏と新聞委員会の同期だった神戸親和女子大の矢野日出子教授は(67)は「ノーベル賞ってこんなにとりにくいものなんですね。また来年を楽しみにします」と気持ちを切り替えた。

 新聞委員会の同期だった田中広幸さん(67)は「残念です。でも彼はすごいと思う。こうやって在校生を含め、神戸のみんなに夢を与えてくれている」と話した。来年までに当時の新聞委員会のメンバーと連絡を密にして、同窓会を開きたいという。「ひょっとしたら春樹も来てくれるかも…」と期待した。

 新聞委員会で村上氏は委員長(編集長)を務めていた。田中さんは「僕らの記事を直してくれた。彼が手を入れてくれると、文章がうまくなったように思えた。文章を書くレベルが違った」と当時のエピソードも明かした。