東日本大震災発生から11日で5年8カ月。沿岸被災地の復興を願う新たな応援歌が生まれた。

 岩手県釜石市出身の三味線奏者、駒幸夫さん(62)が作詞・作曲・編曲を担当した「親父の漁場」(歌・大川かずのり)が23日、CDシングルとして発売される。震災で漁師の父親を亡くした息子が、漁師を継いで一人前になっていく姿をつづった歌詞。昨年末に歌ができた後、慰問で被災者に披露すると、涙を流す人が多かったという。

 来年3月11日の震災七回忌の後、別の歌手に歌ってもらい、CD化を予定していたが、今年6月に「歌わせてくれないか」と駒さんにお願いしたのが56歳の大川だった。本拠地の徳島市から介護事業を全国展開する「エクセレントケアシステム」の社長。同市に自宅がある駒さんと交流があり、被災地支援活動に加わった。「東北の皆さんにこの歌を聞いていただき、勇気と希望を持ってほしい」と力を込めた。

 今月14~16日には岩手県の沿岸でPR活動を予定。漁協やカラオケ店を回り、同曲を披露する。動画投稿サイト「ユーチューブ」で試聴ができる。アドレスはwww.youtube.com/watch?v=iydm6b5mvOc

 ◆大川かずのり 本名・大川一則。1960年(昭35)4月26日、福岡市生まれ。父親は遠洋漁業の漁師だった。5歳で徳島県阿南市に移る。電力会社で勤務した後、2004年に介護事業の会社を起業。関東から近畿、徳島県内で施設を持つ。駒さんの妻の施設勤務が縁で、駒さんと出会う。「困った人を助けるのが福祉の心。駒さんの復興支援活動に共感しました」。カラオケが得意で、鳥羽一郎や山川豊の曲を歌う。

 ○…駒さんは震災6年となる来年3月、被災地の子どもたちによるミュージカルを開催する。岩手県や宮城県の小中高生が参加。舞台を通じて教訓や思いを伝え、震災の風化を防ぐ。駒さんはこのミュージカルの曲目に、大川のデビュー曲「親父の漁場」を加える。「子どもたちに歌ってもらえば、感動的なステージになると思う」。先月23日に第1回のオーディションを開催。出演する子どもたちを20人に絞る予定。