プレーバック日刊スポーツ! 過去の12月9日付紙面を振り返ります。2006年の社会面(東京版)は、ガケ犬に続き白猫SOS、30人がかり無事救出でした。

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 ニャンとか助かったニャン~。兵庫県西宮市宮西町の夙川公園で、高さ約15メートルの松の木に登ったまま下りられなくなっていた白い猫が発見から6日目の8日、西宮市動物管理センター職員に救出された。救出劇は西宮署員など約30人、“秘密兵器”として電気工事の高所作業車も出動した。猫はかみついたり、ひっかいたりして大暴れしたが、同センター職員が手を血まみれにしながらも無事、救出すると、住民約30人から歓声がわいた。

 「ちょっと、何すんのよ! クマだって登ったんだから、猫が木に登ってもいいでしょ。ちょっと、触らないでよ!」「ガブっ」と言ったかどうかは分からないが、猫1匹に警察、消防、市職員と約30人の大捕物劇が展開された。

 兵庫県西宮市の夙川公園。「松の木に登ったまま下りられない猫がいる」と近くに住む20代の女性から通報があったのは3日のこと。西宮市動物管理センター職員、西宮署員、西宮市消防署員が4日から6日にかけ、救出作戦が行われた。はしごを立てかけるなどして4回の挑戦もことごとく失敗。地上15メートルの高さにいた猫は、枝から枝へと逃げ回りなかなか御用とはならない。

 松の木の根元にちくわを置き、えさでつる作戦も失敗。消防署のクレーン車出動も検討されたが、現場の道幅が狭く断念。発見から6日目となったこの日、ついに西宮署が“秘密兵器”を投入した。小回りの利く電気工事用の高所作業車2台だ。

 午前11時、松の木の下に人命救助マットを敷き、高所作業車2台が猫を挟み撃ちする形で近づく。最後は動物管理センターの男性職員が両手で捕獲した。猫は恐怖心からか、男性職員の右手人さし指にかみつき、腕をひっかくなど大暴れ。男性職員はそれでも白い手袋に血をにじませながら両手で猫を抱え上げ「よっしゃ~!」と勝利の雄叫びを上げた。作業をみつめたやじ馬約30人からはやんやの喝采。負傷した男性職員は念のため病院へ直行し化膿(かのう)止めの注射を打ったという。

 同動物管理センターによると、白い猫は大人のメスで雑種。少なくとも6日間は木の上で生活していたが、健康状態に問題はないという。猫は西宮署に拾得物として保護され、現在はボランティアが預かっている。

 ◆“ガケ犬”救出劇 先月22日、徳島市の眉山のがけに迷い込んでいた犬が、徳島市消防局のレスキュー隊員に救出された。6カ月前後の雑種の野犬(雌)で、先月17日昼から崩落防止用コンクリートの擁壁に取り残されているのを住民が発見し、消防局に通報していた。救出劇は、テレビ各局が生中継。逃げようとして落下した犬を、隊員が大型のネットで捕獲した。犬は県動物愛護管理センターで保護されており、救出直後から「あの犬を飼いたい」という問い合わせが全国から殺到。これまでに100件以上に上っている。

<過去の主な動物救出劇>

 ◆06年10月 埼玉県寄居町の宗像神社で高さ25メートルのスギの木に登った子グマが下りられなくなり、県が徹夜で捕獲作戦を敢行し、約30時間後に保護。

 ◆同9月 埼玉県川越市の田んぼで、川からさかのぼったとみられるオットセイが発見された。川越署員らが捕獲を試みたが、稲をなぎ倒しながら逃げ回り、約半日後に捕獲。

 ◆99年6月 東京都八王子市でニホンザルが目撃され、その後、麻布地区に連日出没。捕獲作戦はことごとく失敗したが、発見から2カ月後の8月に上野動物園の飼育係に保護された。

 ◆93年1月 東京都板橋区の石神井川で背中に矢が刺さったオナガガモが発見された。痛々しい「矢ガモ」は米CNNやAP通信までもが取材し、都が「カモ救出検討会」を設置する社会問題に。発見から21日後、上野動物園の不忍池で保護され、矢も抜かれた。

※表記などは当時のもの