民進党の蓮舫代表は7日、代表就任後初めて、安倍晋三首相との党首討論に臨んだ。自民党が衆院で先走り採決し、公明党の一部からも反対が出た「カジノ法案」を中心に両者は激しくやり合った。蓮舫氏は「答えない力、逃げる力、ごまかす力。まさに神ってます」と首相の答弁を痛烈に皮肉った。首相は、定番ともいえる旧民主党政権への批判を列挙。やじへの反論やそもそも論の説明に時間を割き、時間オーバーでさらにやじられる始末だった。

 蓮舫氏は、統合型リゾート施設(IR)整備推進法案に大半の時間を割いた。「なぜカジノ解禁なのか。カジノは賭博だ」と切り出し、5時間33分の委員会質疑で自民党が強行採決した衆院審議をやり玉に、「公明党も捨て置き、野党の声も聞かない。暴走する理由は何か」とかみついた。

 首相は「蓮舫さんが言う懸念があるのは事実」としながらも「統合リゾート施設でカジノ以外にも施設はあり、投資や雇用につながる」と強調。蓮舫氏を支える柿沢未途・民進党役員室長が、法案提案者の1人として「役員室の中でもバラバラ」と皮肉った。蓮舫氏も「辞めたくても自民党が辞めさせない」と反論。批判の応酬となった。

 法案の衆院審議は、自民党の谷川弥一議員が時間を持て余して般若心経を朗読。「まともな姿ではない」(野党議員)が、自民党は衆院同様、きょう8日の参議院で委員会採決を模索する。

 蓮舫氏は「負けた人の賭け金が収益だから問題だ。新たな付加価値を生まないのに、どこが成長産業か。国家の品格を欠く」と迫ったが、首相は「委員会で議論いただきたい」と、かわした。野党のやじが増えると、「わーわー言われたらしゃべりにくい」と、やじに反論する時間が増えた。

 蓮舫氏は首相の答弁姿勢を「答えない力。逃げる力。ごまかす力。まさに神ってます」と、今年の流行語で酷評。強行採決を認めない点にも「よく、息をするようにうそをつく(ものだ)」と、切り捨てた。

 首相は、蓮舫氏が安倍政権の経済政策に触れると、いかに旧民主党政権より結果を出したか、実績を列挙する定番路線で対抗。「いい時は自分の功績、悪い時は人のせい。そろそろ、今に敏感になってほしい」と苦言を呈した蓮舫氏は討論後、「首相はやじに反応して、質問を忘れているのではないか」と指摘した。

 首相も質問者も持ち時間を超えて答弁。良識の府・参院の委員会室で行われた党首討論とは思えない光景もあった。【中山知子】