自民党の馳浩前文科相が14日、2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の後利用は、球技専用で整備すべきとの考えを示した。党のスポーツ立国調査会における「スポーツの成長産業化の加速のための決議」を松野博一文部科学相に提出した際に発言した。

 馳氏は「スポーツの成長産業化を行う時に一番、注目が集まるのは新国立競技場」と前置きし、後利用について「いつまで陸上競技場にこだわっているのか、強く党としての立場から議論を進めようとしている」と大会後に陸上機能を残すことに疑問を呈した。11日に着工したことを受け、「土音が聞こえてきた以上は、後利用に関してもっと国民的な議論をしなければならない」と決意を語った。

 新国立は東京五輪時、主会場として陸上競技が行われる。その際、選手が練習するサブトラックが必要だが、仮設での整備となっており、日本陸連は大会後の常設化を訴えている。一方で、陸上は収益性が見込めず、サッカーやラグビーなどの球技専用競技場として利用すべきとの声も多い。

 後利用については民間に運営権を売却する「コンセッション」方式も検討されている。馳氏も「まさかできあがった後、税金をつぎ込むようなことは絶対にしてはならないと取り組んでいる」と厳しく指摘した。

 それを受け、松野氏は「今、各団体でお話を伺っている。民間活力をどんどん導入すべきだというご意見と、一方でスポーツは産業的側面だけでなく、教育的側面も含めていろんな役割があるから、そこには一定の公的な役割を持たしてもしょうがないかというお話もあるのも事実」と答えるにとどめた。