東日本大震災からまもなく6年。東京電力福島第1原発事故によって、避難指示区域以外の福島県内から避難した「自主避難者」への住宅支援は3月末で打ち切られる。鋭い視点で斬り込むMBSテレビのドキュメンタリーシリーズ「映像’17」、今回は「自主避難者はどこへ~迫られる『帰還』か『定住』か」と題し、26日深夜0時50分(関西ローカル)から放送する。

 福島県いわき市、男性が自宅の庭の土を掘り起こす。測定器の土の数値は1平方メートルあたりに換算すると、13万ベクレル。放射性物質から1秒間に放射線が何回出るかを表す単位がベクレルだ。

 「そこで何かを食べたり飲んだりしてはいけない」「子どもが入ってはいけない」とされる放射線管理区域の基準は4万ベクレル。13万ベクレルは4万ベクレルの3倍以上の数値だ。

 男性はいわき市から東京に自主避難している鴨下祐也さん(48)。いわき市内の高等工業専門学校で物質工学を教えていた。原発事故の直後、詳細が明らかになる前に妻と息子2人を東京に避難させた。自らも1年後に仕事を辞めて避難した。いまは都内の築40年を過ぎた国家公務員宿舎を無償提供され、家族と暮らしている。

 鴨下さんは、いわき市内の自宅へ定期的に帰る。庭の土を測定するためだ。まだ自宅のローンが残っているが、人の住まない家は傷みが激しい。

 「13万ベクレルは4万ベクレルをはっきりと超えてしまっている。この庭を放射能測定器で計るというのは考えてもなかった。なぜ自分はこんなことをやっているんだろう…。もともと放射能とかを扱いたくなくて研究分野を選んだつもりだったのに…。自分自身にも矛盾を感じます」