女性が意に反したAV出演を強要される「AV出演強要問題」。被害者支援団体に寄せられる相談は年々増えている。ユーチューバーのくるみんアロマさんは、だまされてAVに出演した自らの経験を明かし、イベントなどに出席して、被害防止を訴えている。AV業界では女優らによる新団体が対策を模索。しかし、具体的な対策は進んでおらず、男優の辻丸氏は業界の内部批判を続けている。公明党がプロジェクトチームを立ち上げ、国会でも取り上げられているAV出演強要問題の当事者たちに聞いた。【清水優】

 就職活動も終えた大学4年の夏。くるみんアロマさんは、新宿アルタ前で芸能関係の仕事をしているという男性スカウトに声をかけられた。「グラビアができる子を探してる」。内定していた企業が、希望と少し違っていたことも、いつもは無視するスカウトの話に耳を貸した理由の1つだった。「音楽に興味あるの? 話聞かせてよ」。音楽活動の夢を親身に聞いてくれるスカウトは「信用できそう」。そう思った。

 スカウトから連絡がきたのは1週間後。「がっついてこないのも信用できた」。車に乗せられ、グラビアタレントが所属しているという芸能事務所に紹介された。社長もいい人に見えた。秋ごろ、水着グラビアの話があり、社長と出版社へ行くと「この子はヌードもできます」と紹介された。まったく聞いていなかった。「本当は、その時から、すごくおびえていた」。それでも、音楽の夢のためにと思い、その場で否定することはできなかった。