楢葉町の木戸川といえばサケ。木戸川漁協では、5センチほどに育ったサケの稚魚が月末の放流を待っている。

 ふ化場長の鈴木謙太郎さん(35)は「事故後4年間は放流できなかったために、遡上(そじょう)はかつての10分の1になっています。それでも、放流なしの自然遡上(そじょう)で7000匹が戻ってくれている。大事にしていきたい」と、笑顔で稚魚を見つめた。

 事故前は、釣り人によるサケ資源有効利用調査が実施され、本州でフライやルアーでサケ釣りを楽しめる川としても、全国的に知られる川だった。昨シーズンは調査が復活したが、遡上(そじょう)量の少なさから今シーズンは調査は封印。自然遡上(そじょう)で上ってきたサケを守り、採卵を優先。大事にふ化させた稚魚たちは今月27日に、町の子どもたちと放流する予定だ。