2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(79)が7日、サーフィン会場となる千葉県一宮町の釣ケ崎海岸を初視察した。東京都の小池百合子知事、丸川珠代五輪相を含めた3者のトップ級が現地を訪れるのは初めて。そのタイミングで一宮町の馬淵昌也町長が、サーファーや海水浴客の拠点となる恒久施設を整備する方針を明らかにした。

 大会を運営する組織委のトップが訪れたことで、具体的な要望や課題が飛び出た。五輪として初めて行われるサーフィンの会場となるため、大会後も「聖地」としてのレガシーを残すため、町は「サーフィンセンター」のような拠点を造りたい考えだ。建物の具体的な仕様は決まっていないが、町によると五輪時は選手の拠点として使用し、大会後はサーファーらが着替えや休憩できる場所にするイメージだという。

 課題は宿泊施設の不足と輸送環境。一宮町には大型ホテルは1件しかなく、旅館や民宿などを入れて約200客室しかない。町によれば五輪開催時には到底足りず、近隣の白子町やいすみ市と連携して宿泊施設の確保に取り組む予定。

 玄関口となるJR外房線の上総一ノ宮駅には海岸側の東口がなく、現在は西口のみ。会場への観客輸送を考えると、東口の整備は不可欠だが現在、財源を検討中だという。

 馬淵町長は350億円分が継続協議となっている費用分担問題について「どのような役割分担でやるのかが決まれば、準備が加速する。一刻も早く最終合意にたどり着ければありがたい」と要望した。