返礼割合は3割まで、楽器や宝飾品はふさわしくない-。ふるさと納税の返礼品競争を受け、是正を求めた総務省の4月1日付通知から2カ月。地域ごとの持ち味を生かした返礼品を工夫してきた自治体は、見直しを進めつつも、困惑を隠せない。

 総務省はふるさと納税の返礼品ではなく、使い道、目的で工夫をしてほしいとしている。函館市はその「目的」で注目されている。本年度から、大間原発建設差し止め訴訟の訴訟費用として使用することを決めたところ、9日までに訴訟費用目的だけで488件1209万6000円、総額で692件2185万円が集まった。昨年度のふるさと納税の総額が207件1138万円。訴訟費用目的だけで、昨年度1年分を上回る勢いだ。

 原発訴訟は14年に始まった。訴訟費用の寄付は募っていたが、14年度の4580万円から徐々に関心は薄れ、昨年度は92万円。市は「話題性のあるふるさと納税を目的とすることで、もう1度関心を高めてほしかった」と説明する。返礼品も昨年度までの粗品から、本年度からは17品目を用意。カタログも作り、市内の老舗洋食店のカレーセットなどが人気だ。