東京都の小池百合子知事が、築地市場の豊洲移転問題に関連し、市場を豊洲に移転した場合でも築地の敷地は売却せず、商業施設などで活用できる案を検討するよう都側に指示していたことが13日、分かった。民間に貸して収益を上げ、豊洲の赤字を穴埋めする方法を模索している。

 「築地か豊洲か」の二者択一ではない「第3の道」という結論が、現実味を帯びてきた。背景には、23日に告示が迫った東京都議選(7月2日投開票)の影響もありそうだ。仮に豊洲か築地か、どちらか一方に結論を出した場合、選ばれなかった側を支持する都民や事業者の批判は避けられないためだが、一部の都政関係者からは、「都議選対策」との声も出ている。

 小池氏はこの日、移転問題を検証する市場問題プロジェクトチーム(PT)の小島敏郎座長から、豊洲移転&築地再整備の両論が記された報告書を受け取り、「都民の皆さんも、東京のいちばんのブランドである築地がどうなるのかに、注目していると思う。私も築地のブランドは大切にしていきたい」と述べ、築地活用の意向を示唆。「画期的なアイデアを出していただいた。総合的な判断に生かしていきたい」と述べた。

 報告書は、築地の銀座に近い立地などを「ブランドの経済的価値が高い」と指摘。仲卸業者の「目利きの力」などを踏まえ「食のテーマパーク」での再整備を提案。豊洲はITによる商品管理など「物流センター」の姿を想定した。

 小島氏は取材に、「豊洲は市場外取引、築地は市場内取引が特徴だ。築地と豊洲の市場としての性格は、全く異なる」と指摘。「築地ブランドは企業ののれん代。ブランドには価値がある。そういうところも考えた方がいい」「役所が自分で考えてこなかったことを盛り込み、検討の材料を提供した」と説明した。

 小池氏は、週内にも「市場のあり方戦略本部」で詰めの協議を行い、都議選告示前に結論を発表する方針だ。