東京都の小池百合子知事は17日、築地市場(中央区)を訪れ豊洲市場(江東区)の無害化ができていない現状を謝罪した。午後1時1分に講堂に入ると、市場関係者から拍手で迎えられた。「実際に築地市場で働いている皆さんが1番影響を受けている。約束を守れていないことに、おわび申し上げます」と、10秒以上頭を下げた。

 事前に決められた水産卸売り、水産仲卸、売買参加者、買い出し人、青果部、関連業者(輸送、場外関係)の6団体の代表がそれぞれ、小池氏に意見を述べた。水産仲卸関係者は「祖父の代から3代、80年以上かけて築地ブランドをつくってきた。ここを離れればブランドはなくなる。市場機能を残しながら築地を残さないと意味がない」と豊洲移転反対を訴えた。

 青果関係者は「小池さん、築地が好きな私たちにこんなこと聞くのは酷ですよ! 都知事が勇気と魂と優しさを持って、判断してください!」と熱い思いをぶつけた。

 場外業者は「日本橋や銀座の飲食店の買い出し人は『何で我々の意見を聞いてくれないんだ』と言っている。大型量販店などは豊洲市場がいいだろうけど、個人業者は豊洲ではやりにくい」と話した。

 豊洲移転派も真っすぐな意見を述べた。水産卸売関係者は「豊洲移転が唯一の選択肢。そのために都知事が安全宣言をしてほしい」。輸送関係者は「生産者からは『温度管理して持って行っても築地は野ざらしだ』と言われた。量販店からも『コールドチェーン(低温管理物流)化していない築地では買えない』と言われ残念だった。仲卸の方が築かれてきたブランドは大切だが、現在の物流ではコールドチェーン化が必要だ」と冷静に語った。

 意見を聞き終わった小池氏は「築地での歴史の重みを感じた。豊洲の風評被害についてもご意見を頂いた。AかBかではなく、このブランドをどう守って、物流をどうするのかを考え基本方針を決めたい。今後も築地市場に伺いたい」と話した。小池氏は23日の都議選告示前に豊洲への移転判断を下す見方が強まっている。