安倍晋三首相の「お友達」が登場、政権を揺るがしている加計学園問題が、東京都議選(23日告示、7月2日投開票)を戦う自民党を、逆風となって直撃している。民進党など野党4党は21日、憲法53条に基づき、告示前日の22日、臨時国会の召集を求めて衆院に要求書を出す方針を決めた。

 追及の場を求めることで、「疑惑解明は終わっていない」(民進党議員)ことを国民に示すためという。衆参両院議員のいずれか4分の1以上が求めれば、政府に国会召集の義務が生じる規定に基づくが、政権が応じる可能性はほぼない。それでも、民進党関係者は「安倍政権や自民党の『加計問題隠し』を訴える材料になる」。対照的に、自民党は「ネガティブな攻撃が増えるかもしれない」(関係者)と、戦々恐々だ。

 首相は19日の会見で、「(新たな)指摘があれば説明責任を果たす」と明言。その後、首相側近の萩生田光一官房副長官の働き掛けがあったとする新たな文書が発覚した。野党は首相の説明を求めるが、自民党は応じない構え。民進党の蓮舫代表は演説で、「首相は会見で、丁寧に説明すると言った。やっていることが違う」と批判。同党は連日、政権批判の街頭演説を実施している。小池百合子都知事も、「情報隠しは自民都連が得意なところだ」と、自民党を皮肉った。

 告示日の第一声にも、首相や都連幹部の萩生田氏は登場しない。首相は13年都議選は、翌日からの外遊を理由に告示日の応援は回避する一方、告示前と帰国後に遊説。今回も6月中旬に1度、総理遊説が検討されたが見送られた。内閣支持率も急落。党内には、首相遊説を敬遠する空気も流れている。