東京都の小池百合子知事は3日、都議選圧勝を受けて取材に応じ、国政で小池氏勢力に同調する動きが生まれることに、期待を示した。国政進出は否定しつつ、「国民ファースト」というワードを初めて披露。追加公認を含めて55議席を獲得した「都民ファーストの会」の、「国会支部」の名称になる可能性がある。この日も、既存政党から離党の動きが出た。

 小池氏は、「都民の皆さまの期待で、第1党に上り詰めることができた。議会を引っ張れるよう、第1党の役目をしっかり果たす」と圧勝を振り返った。願掛けで今年1月から断酒していたが、2日夜に自宅でビールを解禁。「おいしかった」と、勝利の美酒に酔ったことも明かした。

 圧勝で、知事と議会がチェックし合う二元代表制に懸念が生じることを踏まえ、この日で都民ファ代表を退く意向を表明。特別顧問に就任した。知事職に専念する構えだが、それでも消えないのは国政進出への臆測。取材では、そのヒントとなりそうな「キーワード」が飛び出した。

 小池氏は「新党ではなく、自身を支持する議員を推薦するような手法での国政進出はあるか」と問われ、「今はその状況にはない」とした上で、「いろいろな動きが国政にも出てくると思う。都民ファーストならぬ、国民ファーストをベースに考える必要がある。そういう方が増えるのは、国民にもよいことだ」と指摘。都民ファに共鳴する議員の動きを歓迎する意向だ。

 「国民ファースト」は、永田町に一気に広がった。与党関係者は、「国政の『小池新党』の名称ではないか。都民ファの『国会支部』をつくり、連携する可能性は十分ある」と述べた。

 国会議員5人以上で、政党要件を満たす。都議選では若狭勝、長島昭久両衆院議員、渡辺喜美、松沢成文両参院議員の4人が都民ファ候補を応援。「連携予備軍」とみられる。あと1人で政党結党への道筋が立つが、3日、民進党の藤末健三参院議員が、離党届提出を表明。憲法改正をめぐる執行部との見解の相違が理由で小池氏との連携は否定したが、「中道の考えを持つ議員5人で政党をつくりたい」とも主張。臆測を呼んでいる。別の複数の民進党議員も、「離党予備軍」に浮上している。

 都議選で都民ファ候補が獲得した票は、約200万票。14年衆院選の東京比例で自民党が獲得した約185万票を上回り、「国政でも勝機あり」の根拠の1つになっている。都民ファでは今後、まず都内の市区町村の首長選への候補者擁立を検討。小池氏は「保育、介護の現場は市区町村にあり連携したい。日程を確認し、今のリーダーの方との間合いもみながら考えたい」と、意欲を示した。