デビュー30戦目にして初黒星を喫した将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)がきょう6日、大阪市の関西将棋会館で行われる順位戦C級2組で中田功七段(49)と戦う。2日に公式戦最多連勝記録が「29」でストップした後の仕切り直し。

 中田は昭和のレジェンドと言われた故大山康晴15世名人の弟子で、変幻自在の指し手で知られる。日本将棋連盟は「藤井フィーバー」対策として同会館の警備を強化する。

 藤井の再スタートに、難敵が立ちはだかる。切れ味が鋭い将棋を指す愛称「コーヤン」こと中田だ。白い肌に長身。白髪まじりの短髪は、修行僧のような雰囲気を漂わす。歴代1位の通算1433勝の大記録を持つ大山15世名人の愛弟子でもある。

 藤井は2日の竜王戦決勝トーナメント2回戦で佐々木勇気五段に敗れ、連勝記録「30」の大台は逃した。それでも昨年12月のデビューから年長者を次々に退け、30年ぶりの大記録を打ち立て、世間に強烈なインパクトを与えた。初黒星後も「気持ちを切り替え、1局1局指していきたい」と自然体を崩さず、前を向いた。中3日で迎える対局は新たな戦いのスタートとなる。

 今回は昭和のレジェンドの流れを受け継ぐ相手だ。中田は将棋の戦法の1つ「中田功XP」を考案した技巧派で、佐藤天彦名人の師匠としても知られる。今後、14歳が「伝説」を作っていくには、「大山ファミリー」との戦いは避けて通れない。