メニューはシェフの原田修氏とともに考案したという。原田氏は以前に勤めていたフレンチ店で、土用の丑の日にうなぎ料理を出したこともあり、経験はあった。赤ワインで淡水魚を煮込む「マトロット」はローマ時代からある伝統料理だが、うなぎがポピュラーだという。うなぎは基本的には白身魚で「日本人の舌ではかば焼きには勝てない」としながらも、しょうゆバターや、にんにくとパセリのソースなど、うなぎの新たなおいしさを堪能してもらえるメニューをそろえていったという。

 ということで、うなぎメニューをご相伴にあずかった。「うなぎミモザサラダ」は、うなぎの油がサラダと調和されてさっぱりと食べられる。「うなぎのオムレツ」は、う巻きがあるからと考案されたが、トロトロの卵との相性がこれまた抜群。柳川鍋の洋風版といった具合で、これまたワインが進む。「うなぎガーリックバター」は、たっぷりのマッシュポテトとともにオーブンで焼かれたうなぎがマッチする。うなぎの油がポテトに染み渡り、これまた、箸ならぬフォークが止まらなくなる。

 今後もメニューの開発には余念がない。正木氏は「冬場には温かい料理と思い、ホイル焼きとか、フリッター、煮込みなんかも考えています」。原田氏によると、塩こうじ焼きは失敗したというが、ほおば焼きのようなみそ焼きはいけそうだという。

 もちろん、かば焼きはおいしい。ただ、うな重だと、それ1品でおなかはいっぱいだ。対して、うなぎフレンチは、前菜、オードブルからメインまで、ワインを飲みながら、さまざまなうなぎ料理を食べられるのがうれしい。今年の土用の丑の日は、うなぎフレンチはいかがですか。【竹村章】

 ◆レストランABO(アボ) 鹿児島県大崎町産の牛肉料理をメインにしたレストラン。クリームソースのハンバーグが有名。「うなぎフレンチ」コースは通常5800円も、8月末まで特別価格4800円。アラカルトもあり、うなぎミモザサラダ(900円)、うなぎガーリックバター(1200円)など。東京都千代田区九段南3の4の5番町ビル1階。【電話】03・6261・3839。