いよいよ夏休み。今年も新たなレジャーが続々と登場する。東武鉄道では、8月10日から鬼怒川線の下今市~鬼怒川温泉間でSL「大樹(たいじゅ)」を走らせる。乗っても撮っても、見ても楽しい同線51年ぶりのSL復活は、今夏の鉄道の目玉だ。このほか、東京・お台場に新たに出現した「お台場ウォーターパークbyハウステンボス」、改装された同・池袋「サンシャイン水族館」など、家族で楽しめるお薦めスポットを紹介しよう。

 どこか懐かしい汽笛が山あいの鬼怒川線にこだまする。SL大樹が3両の客車を引き、煙をはきながら緩やかな勾配を上っていく。下今市から鬼怒川温泉まで12・4キロを40分弱で結ぶ。適度に揺れながら、車窓からの杉並木や大谷川(だいやがわ)、鬼怒川の自然豊かな風景を堪能した。

 東武鉄道としては51年ぶりの復活だ。1966年(昭41)まで佐野線(群馬・館林~栃木・葛生間)で、セメントなどを運ぶ貨物列車として活躍していた。道路網の発達、輸送のスピードアップ、省エネなどで一度はその役割を終えた。

 約半世紀の時を経て、13年からの中期経営計画の「日光・鬼怒川地区活性化」の柱として、SL運行の話が持ち上がった。東武鉄道沿線ではドル箱ともいうべき観光資源。移動手段としてのエンターテインメント性が高く、鉄道ファンだけでなく根強い人気があるSLは、うってつけだった。東武鉄道SL事業推進プロジェクトの塩谷文香さん(30)は、「歴史があり、伝統文化が根付いているこの地域には、歴史ある車両が似合う」と説明した。

 早速、JR北海道、JR西日本、真岡鉄道、秩父鉄道、大井川鉄道など、SLを運行している鉄道会社の協力を得て、転車台などを譲渡してもらった。技術も学んだ。

 今年4月には、新型特急リバティも運行を開始した。リバティの下りは浅草始発で、途中の下今市にも停車する。そこからSLに乗り換えてもいい。都心の新名所となった東京スカイツリーから時空を超え、日光・鬼怒川へ、「乗り鉄」ならずとも、新旧の車両から目が離せない。【赤塚辰浩】

<「大樹」ガイド>

 ◆SL座席指定料金 大人750円、子供380円(乗車券は別途必要)

 ◆運転日 本年度は、8月10日から土・日・祝日を中心に98日間を予定

 ◆SL展示館・転車台広場 下今市駅構内に23日、オープン。延べ床面積約250平方メートルの展示館では、ジオラマや写真を展示。SLに関する知識のあれこれも学べる。転車台ではSLを間近で見られる