2020年東京五輪・パラリンピック主会場となる新国立競技場(新宿区)の後利用方法を検討するスポーツ庁の作業部会が26日、都内で開かれ、大会後はサッカーやラグビーの球技専用とする方針で一致した。9月末に開催予定の関係閣僚会議で正式決定する。その後は、大会後に運営権を民間に売却する「コンセッション方式」へ向けて募集要項づくりに着手。コンサートの収益性を高める目的などで民間の申し出があれば「屋根建設案」が復活する可能性もある。

 陸上トラックの存続を望んでいた日本陸上競技連盟も会議に出席し「異存はない」と球技専用化を了承した。これで20年東京大会後はトラックを外して観客席を増席し、8万人スタジアムとして運営する具体的な議論が始まる。スポーツ庁は今後、サッカーやラグビーの競技団体と協議する。

 今後の焦点は「民間への運営権売却」。旧国立は同庁所管の日本スポーツ振興センター(JSC)が運営し、プロから一般市民まで広く利用してきた。しかし、民間が運営権を持てば収益性重視のため、広い公的利用は制限される可能性がある。ただ、あくまで「国立競技場」のため担当者は「スポーツの聖地として認知される意義ある試合は行いたい」とした。

 旧国立なじみの大会が五輪後、どの程度実施されるかは気になるところ。担当者は新国立の価値を高める試合は継続すべきだとし、大学ラグビー「早明戦」や冬の全国高校サッカー選手権などを例に挙げた。使用頻度を上げるためサッカーJリーグの本拠地とする案も検討課題で今後、日本サッカー協会と協議する。

 スポーツがない期間はコンサートなどのイベントで収益を上げる。運営権取得を希望する民間業者が「全天候型」を提案すれば、白紙撤回となった「ザハ案」にあった「屋根建設」が再浮上する。同庁によると屋根建設の提案があれば、基本的に民間の費用負担となるが、民間の条件がそろわなかった場合は国負担が生じる可能性もあるという。

 正式決定後「コンセッション方式」に詳しい調査会社とともに、応募要項を策定する。同庁は他の事例から1年半~2年ほどかかるといい、2年かかれば公募開始は19年秋ごろとなる。

 五輪時の6万8000席から8万席への増席や、収益性を高めるためのVIPルームの改造など、大規模改修が必要となるため、民間業者が運営を開始するのは22年以降となる見通し。改修工事期間は新国立は利用できない。【三須一紀】