陸上男子100メートルの桐生祥秀(21=東洋大4年)が日本人初の9秒台を記録し、日本中が大フィーバーだ。桐生が着用したスパイクメーカー「アシックス」(神戸市)が日本新となった9秒98にちなんだ同型記念スパイクを緊急発売することが9日、分かった。1949年(昭24)創業の老舗国産メーカーの技術が大記録達成をサポート。同社は喜びに沸いた。

 日本の靴が、9秒台を駆け抜けた。「アシックス」が桐生と二人三脚で作り上げ日本最速の靴となった。

 13年4月、桐生が京都・洛南高3年時に10秒01を記録した以前から足を計測し、スパイクを製造。この日、現場で9秒台を目の当たりにしたスパイク担当者は「言葉にならない。感無量」と喜び、震えた。

 9秒98を生んだ「17年モデル」は片足の重量が約120グラムで昨年より数グラム軽量化した。「16年モデル」はスパイクのピンが取り替え式だったが、今年は固定式。取り替え式は装着金具が必要となるが、固定式にすれば金具が不要となり、数グラムを削減できた。

 ピンが5ミリ、7ミリのスパイクをそれぞれ持参し、トラックの状態に合わせて靴を替える。16年リオデジャネイロ五輪の400メートルリレーで銀メダルを獲得した直後から、9秒台を出せる靴を模索。何度も試着、試走を繰り返し、今年4月に今回のモデルが完成した。側面の模様は「トップを目指す」意味で金色にした。