小池都知事の政治の師、小泉純一郎元首相(75)は27日、都内で講演し、衆院解散を宣言した安倍晋三首相の方針に「する必要がない解散だ。なぜやるのか、大義が分からない」と疑問を呈した。「自民党が勝っても、安倍さんの信頼度は高まらない」とも指摘。選挙後も、首相が国民の支持をつなぎ留めるのは難しいとの認識を示した。

 「野党がバラバラと思い解散を決めたのだろうが、もし衆院選で自公が過半数を得ても、(首相は)今、いろいろな問題で追及されている。野党は次の手を打つ。選挙後も(首相は)苦労する」と指摘。「(自公両党の)3分の2の議席は安定多数で、いろんなことができるのに。(現状で)自民党の第1党は間違いないが、過半数を取れるかは分からない」と話した。

 「希望の党」は「寛容な改革保守」を掲げるが、「保守同士が争うと分からない。はっきり(争点が)分かれないと、結果は分からない」と述べ、「憲法改正は選挙の争点にしてはならない」とも訴えた。

 05年郵政選挙で自民を圧勝に導き、独特の政局&勝負勘を持つ小泉氏が、首相の解散戦略を疑問視したことに、自民党内では衝撃が広がっている。

 一方、小泉氏は「希望の党」の選挙活動には関わらないと明言。同党が政策に掲げ、自身の持論である「原発ゼロ」方針を「応援する」と語った。「小池さんが『原発ゼロ』を争点にすれば、希望の党はかなり伸びる。それが怖いのは自民党だ」。25日に都庁で小池氏と面会し、「よく原発ゼロを公約にした。いいことだ。頑張れ」と激励したことも明かした。【中山知子】